移植の方法
移植部位は、残存卵巣の表面や卵管などに移植する同所性移植と後腹膜やその他部分に移植する異所性移植に分けられます。同所性移植であれば、通常の採卵も容易に施行可能で、さらには自然妊娠も期待できる利点があることから、同所性移植が標準的な移植部位とされています。現在では、卵巣内に移植する方法と卵巣が存在した近傍の後腹膜に移植する方法が一般的であり、妊娠例も同所性移植のみです。
一方、異所性移植に関しては、乳癌患者の凍結卵巣を融解後、前腕皮下に異所性自家移植し採卵に成功の報告があります。しかしながら、これまでに生児獲得の報告は無く、皮下組織圧が腹腔内の圧と異なることや体表に近く低温であることが、同所性移植と比べて異所性移植が劣る理由であると考えられています。
(吉村 やすのり)