よく知られている卵アレルギーは、主に卵の白身に含まれる成分が原因で、すぐに症状が出ます。異物を体から追い出そうとする抗体IgEによって、体内で過剰な免疫反応が起こり、おおむね1時間以内に蕁麻疹やくしゃみ、咳といった皮膚や呼吸器の症状が出るのが特徴です。東京都によれば、3歳までに食物アレルギーと診断された人は約16%います。食物アレルギーの3分の1が卵が原因です。
最近、IgE抗体によるアレルギーとは別のアレルギーが知られるようになっており、世界中で患者が増えています。食べてからおよそ3時間後に嘔吐や下痢といった消化器の症状が出る食物たんぱく誘発胃腸炎で、乳幼児に多く発症します。原因としては牛乳が多く、卵もその一つです。何度も吐くため、脱水症状になることもありますが、数時間で治まります。
卵による食物たんぱく誘発胃腸炎とみられる症状で、関東の6病院を受診した0~3歳の子どもを分析した結果、白身と黄身を別々に食べた23人のうち、全員が黄身を食べていました。白身によるアレルギーを避けるため、離乳食にまずは黄身だけを使うことも多くなっています。黄身だと思って油断しないことが大切です。
(2020年10月24日)
(吉村 やすのり)