原子力を学ぶ学生の減少

 原子力を学ぶ学生の数がじわじわと減っています。約8年前から改善傾向にありましたが、2011年の東京電力福島第1原子力発電所の事故で再び減少に転じました。1960年代前後から最先端の科学技術として理系の優秀な学生が進学した原子力でしたが、1990年代に入ってから激減しました。とくに1995年に夢の原子炉と呼ばれた高速増殖炉原型炉もんじゅで、ナトリウム漏れ事故が起き、原子力への信頼が落ち込みました。
 東京大学が1993年に原子力工学科をシステム量子工学科へと変更して以来、日本の大学や大学院の看板から原子の名前は次々と消え、学生も減っていきました。特に、福島の事故で再び原子力への信頼は失墜し、学生が敬遠することになりました。しかし、電力資源以外の原子力の安全利用に関わる研究は、わが国にとって大切であり、こうした研究者が少なくなるのは大変残念なことです。

(2015年10月2日 日本経済新聞)
(吉村 やすのり)

 

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