国は、来春にも東京電力福島第一原発の海洋放出を開始する方針です。朝日新聞は岩手、宮城、福島3件の計42市町村の自治体にその是非を尋ねています。自治体の6割近くが、容認できない、どちらかと言うと容認できないと回答しています。茨城県の計9市町村では、反対姿勢を示した首長はいませんでした。
12人中10人の首長が反対姿勢だった岩手県では、漁業者が反対を理由に挙げています。宮城県でも6割近くが反対姿勢を示しています。納得が得られない中で放出への段取りが進むと、漁業者の態度が硬化すると指摘されています。福島県では反対姿勢がやや上回っていますが、福島第一、第二原発の立地4町のうち3町を含む6市町村長が無回答でした。廃炉のために避けて通れないとの考えもあります。
処理水の安全性については問題はないと思われますが、国が、丁寧な説明を尽くさない限り、いかなる処分方法を選んでも、福島県に過度な負担を強いることになります。一企業の問題とせず、国家的課題として国が全責任を負うとの意思表示が大切です。
(2022年3月5日 朝日新聞)
(吉村 やすのり)