福島原発の事故後、原発の運転期間は原則40年になり、最長20年の延長ができることになっています。政府は、新増設や建て替えは現時点では想定していないという立場です。今は建設中を含め36基ありますが、仮にすべてが延長しても2050年には23基、2060年には8基に減り、いずれゼロになります。
2月下旬のロシアによるウクライナ侵攻で、液化天然ガスや石油などエネルギー価格が高騰し、電気料金は過去最高の水準になっています。火力発電への依存が続けば、電気料金がさらに上昇しかねない状況です。
こうした状況を受け、自民党本部で総合エネルギー戦略調査会では、クリーンエネルギー戦略をめぐる提言案に再生可能エネルギーと並び、原子力についてエネルギー安全保障、脱炭素の効果の高い電源を最大限活用する必要があるとの文言が盛り込まれています。
ウクライナ情勢でエネルギー供給の不安定さが露呈し、政府・与党内では原発回帰の動きが強まってきています。原発政策の見直しにつながる可能性が出てきています。
(2022年5月18日 日本経済新聞)
(吉村 やすのり)