受動喫煙と肺がんや脳卒中などの因果関係は、確実されています。肺がんになる危険性は約1.3倍高まるとされ、受動喫煙による死者は年間1万5千人と推計されています。そのため、政府は2020年の東京オリンピック・パラリンピックに向け、健康増進法を改正し、受動喫煙対策を強化することにしています。
改正案では、飲食店は禁煙を基本としつつ、客席100㎡以下で個人経営か資本金5千万円以下の中小企業ですでに経営している店は、喫煙、分煙と表示すれば喫煙できることにしています。100㎡以上でも喫煙専用室の設置は認められています。厚生労働省が昨年公表した30㎡以下のバーやスナック以外は原則禁煙とする案と比べ、喫煙できる店は増えます。この改正案では、飲食店全体の55%が喫煙可能になると推計されています。学校や病院などは原則、敷地内禁煙ですが、屋外に喫煙場所を設けることはできます。禁煙場所で吸う人には最大30万円、灰皿を撤去しないなど対策を怠った施設管理者には、最大50万円の罰金を科します。また、新規や大手チェーンの飲食店は原則、屋内禁煙としています。しかし、この改正では真の受動喫煙対策にはならないと批判も出ています。
(2018年3月14日 朝日新聞)
(吉村 やすのり)