故障した機械でも、劣化した電子基板を修理すると多くは再び動くようになります。電子基板を修理することで故障した産業機械に火をともし、使い続けられるようにするビジネスは、産業廃棄物や温暖化ガスの排出削減に間違いなく寄与します。サーキュラーエコノミー(循環型経済)の構築につながります。内閣府によれば、2000年は米国と並んでG7で最も短かった日本企業の設備の平均使用年数は、2019年にイタリアに次いで2番目に長くなっています。2019年の日本の平均使用年数は2000年より2.4年長い11.8年となっています。
利用企業は、設備更新費用と環境負荷を同時に抑えられる利点があります。しかし、設備更新期間がほぼ横ばいで推移する米国と比べ、コスト削減を優先し、設備投資に消極的な姿勢がうかがわれます。必要な設備投資が先送りにされれば、産業競争力は低下します。延命ビジネスの利用には、競争力に直結する重要な産業機械の更新を続けながら、それ以外の設備を大切に使い続けるメリハリが求められます。
(2024年12月13日 日本経済新聞)
(吉村 やすのり)