仕事を休んでも賃金が支払われる年次有給休暇は、企業が社員に一定の有休を取らせることが3年前に義務づけられています。2020年の取得日数や取得率は過去最高となりましたが、欧州の主要国に比べると、まだ低水準のままです。
16の国・地域で約1万5千人を対象に調べた結果によれば、日本の有休取得日数は12日で上から7番目、取得率は60%で下から3番目でした。上位を占めたのは欧州で、ドイツは取得日数が28日、取得率が93%といずれも最多です。フランスは25日で83%、イタリアは20日で77%でした。一方、米国は取得日数が8日と最も少ないのですが、取得率は80%でした。
有休は、勤続年数などに応じて企業から付与されます。厚生労働省によれば、2020年に従業員が付与された有休は、平均17.9日です。そのうち実際に取得したのは10.1日、取得率は56.6%で、いずれも調査を始めた1984年以降で最高となっています。しかし、46%の人が、有休の取得にためらいを感じる、ややためらいを感じると答えています。主な理由として、皆に迷惑がかかる、後で多忙になる、職場の雰囲気で取得しづらいとの回答が多くなっています。
取得率を業種別にみると、最も高かったのが電気・ガス・熱供給・水道業の73%です。最低は宿泊・飲料サービス業の45%で、事業計画が立てやすいインフラ系が高く、顧客にあわせて働く必要が大きい第3次産業が低い傾向にあります。従業員数別の取得率は、1千人以上が61%なのに対し、100~299人は55%、30~99人は51%です。会社の規模が小さいほど、取得率も低くなっています。
(2022年4月18日 朝日新聞)
(吉村 やすのり)