東京大学などの調査によれば、日本の管理職や専門職の男性は他の労働者に比べ、死亡率が高いことがわかりました。管理職において、健康な欧州とは異なった傾向の健康格差がみられます。死亡率はバブル崩壊後の1990年代後半に上昇しています。2000年代以降は低下傾向にありますが、一部専門職を労働時間規制から外す高度プロフェッショナル制度ができるなど逆行する動きも出てきています。時間の自己管理が建前の管理職は、自らを長時間労働に追い込みがちです。
欧州は、1990年代から一貫して、経営者や中間管理職、医療職や教員らの管理職と専門職より、事務・サービス系、工場や運輸など肉体労働系の死亡率が高くなっています。しかし、日本は1990年代後半以降、管理職と専門職が他の2グループより高い状態にあります。主な原因はがんと自殺です。韓国では、リーマン・ショックのあった2000年代後半以降、管理職と専門職の死亡率が上昇しました。
(2019年6月14日 日本経済新聞)
(吉村 やすのり)