4月より同一労働同一賃金が実施されます。正規社員と非正規社員の間の不合理な待遇格差を禁止するもので、大企業は今年4月から、中小企業は来年4月から始まります。
約30年前の1989年は、正規社員は3,452万人に対し、非正規社員は817万人で非正規の比率は約19%でした。昨年は正規社員は3,494万人とほぼ同じなのに、非正規社員は2,165万人に達し、その比率は約38%と30年前の2倍となっています。非正規社員の内訳は、短時間勤務のパート・アルバイトが全体の70%、契約社員が14%、派遣社員が6%です。
正規社員と非正規社員の待遇差は、まず賃金格差です。厚生労働省の2018年の調査によれば、正規社員の賃金は全体では、月32万3,900円なのに対し、非正規社員は同じく20万9,400円にとどまっています。また通勤手当は、正規社員には約90%が実施しているのに、パートには約76%しか実施されていません。正規社員にだけ通勤手当を基本給とは別に出して、非正規社員は基本給に込みの形が多くなっています。役職手当、ボーナス、定期昇給についても明らかに差異がみられます。
非正規社員は、正規社員との待遇差の内容とその理由について会社に説明を求めることができるようになります。労働者災害補償保険、雇用保険など労働保険、健康保険、厚生年金保険など社会保険については、正規社員は通常、この4つの保健には加入していますが、非正規社員の中には加入要件を満たすのに会社が手続きを怠っているケースもみられます。非正規社員で働く場合、会社が法律通りに加入についてきちんと運用しているかを確認することが必要になります。
(2020年3月25日 日本経済新聞)
(吉村 やすのり)