周麻酔期看護師とは

医療現場では、心臓血管や脳神経外科、呼吸器外科などの分野で、難度の高い手術件数が増加しています。高難度手術では検査項目も多く、血圧管理なども細かく行う必要があり、麻酔科医の業務量も増えています。麻酔科医は、年間250人ずつ増加し、現在8,000人ほどの専門医がいますが、それを上回るペースで需要が増してきています。麻酔科医の不足が指摘される中、専門的な知識・技術を学んだ看護師が、手術中の麻酔管理や、術前術後の患者ケアなどを担う取り組みが注目されています。
周麻酔期看護師は、麻酔前後の患者のケアに関わり、麻酔科医の直接指示を受けて一部の医療行為も行います。麻酔について専門的に学んだ看護師が手術室にいれば、業務を移管したり、共有したりでき、医師にしかできない業務に専念できます。
手術前の患者の診察補助や麻酔についての説明を看護師がまず行い、麻酔科医はその後により高度な追加診察などを担います。看護師が患者と家族が抱える不安や心配事を聞き出し、丁寧に患者の理解度に合わせた説明をすることで患者の不安を軽減することができます。診察の補助の範囲内であれば、一部の医療行為も行えます。
麻酔領域に携わる看護師の育成を巡っては、周麻酔期看護師の他に、日本看護協会が手術看護認定看護師、日本麻酔科学会などが周術期管理チームなどを認定しています。厚生労働省も研修を受けた看護師に、麻酔管理などの特定行為を可能にする制度を始めています。

(2021年2月1日 日本経済新聞)
(吉村 やすのり)

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