喫煙による経済損失は、1年間で医療費、火災の消防費用、精巣費用、たばこ関連の病気による労働力損失など、計4兆3千億円にも達します。厚生労働省研究班は、たばこが原因と十分推定できる病気によって、歯科を含めた超過医療費は1兆2千億円(2015年度)だったと報告しています。
喫煙が原因と考えられる病気は、口腔や食道、肺、肝臓、胃、膵臓などの各がんに加え、脳卒中や歯周病、慢性閉塞性肺疾患(COPD)、虚血性心疾患、2型糖尿病の発症、早産などです。
たばこは、加齢を加速させ、多くの病気や体の機能の衰えを引き起こしやすくします。たばこをやめれば、人生の質がぐっと上がります。禁煙の数日後には味覚が改善してごはん粒の味が分かるようになったり、嗅覚も良くなって花の香りを楽しんだりできます。体の中から一酸化炭素が減り、階段やスポーツが楽になるのが月単位で実感できます。禁煙後1~2年ほどで、COPDや心臓病、5年経つと肺がんのリスクがそれぞれ下がります。また、九州大学の疫学調査によれば、喫煙で認知症のリスクが2~3倍高まることが報告されています。
(2020年2月5日 朝日新聞)
(吉村 やすのり)