国の修学支援制度は、授業料の減額や免除と返済不要の奨学金の2本柱で、所得が少ない世帯向けに2020年度から始まりました。この新制度により、2020年度の、住民税非課税世帯の高卒者の進学率が、制度導入前と比べて7~11ポイント上がったと推計されています。この制度は住民税非課税世帯と、所得がそれに準じる世帯の子が大学、短大、高等専門学校、専門学校に通う場合、授業料・入学金を減免し、返済不要である給付型の奨学金を支給するというものです。両親と大学生、中学生というモデル世帯(4人)の場合、年収380万円未満が対象です。
しかし、せっかくの制度が知られていない可能性があります。ウェブ調査によれば、この制度の対象となる年収380万円未満の世帯で、制度を聞いたことがないという回答が2割を超えています。また制度が複雑になり、高校側が理解しきれていないようです。
新制度は専門学校も対象にした点が大きな特徴で、専門学校への進学率が5.7ポイント増えています。入学して2年後に就職して収入を得られる点や、学びが職業に結びつきやすいことから、低所得層の専門学校志向は高くなっています。新制度は低所得世帯向けですが、所得額が中間の世帯への支援を求める声も出てきています。
(2021年7月19日 朝日新聞)
(吉村 やすのり)