18歳人口の減少で大学入試がゆるくなっています。競争倍率の低下は、私立大に限らず国公立大でも着実に進んでいます。首都圏の私立大学の半数は、平均倍率が2倍未満です。国公立大学も首都圏では3倍を超えているものの、地方では2倍台前半です。国公立大学も私立大学も合格率が上って入りやすくなり、18歳人口が205万人と最も多かった1992年頃の競争の激しさと比べると、隔世の感があります。
しかし、東京大学、京都大学など難関大学の競争はさほど緩和していません。国立大学を旧帝国大学などの難関10大学とそれ以外に分けて見ると、過去10年で非難関大学の志願者は14%減ったのに対し、難関大学は3%しか減っていません。今後地方の有力国立大学も少子化の進展を受け、定員割れを視野に入れる局面になっています。
2023年度入試では、理・農学部や医歯薬・保健系学部の志願者が増えています。女子の志向が変化したことが要因と考えられています。文・人文、社会・国際、生活科学など女子が多かった学部系統の志願者減が目立つ一方、理系を志す女子は非常に増えています。新型コロナウイルス禍で先行き不透明性が増し、就職に有利かを考えた結果、理系が増えた可能性があります。
(2023年6月27日 日本経済新聞)
(吉村 やすのり)