研究費削減などトランプ政権の圧力を受ける米国大からの研究者受け入れを、日本の大学が相次ぎ表明しています。東京科学大は、主に米国の研究者向けの問い合わせ窓口を公式サイトに設けています。立命館大も、若手研究者は最大16人受け入れます。異次元の対応をとるのが東北大です。5年間で300億円を投じて、報酬の上限を設けず国内外のトップレベルの研究者を500人採用するとしています。
研究水準の高さを測る指標に、他への被引用数が上位10%に入る論文の数を示すトップ10%論文数があります。この国別順位で、日本は昨年2年連続で過去最低の13位に沈んでいます。米国の迷走を、舞い込んだ浮上への好機とする見方があります。しかし、多額の資金が必要となります。米著名大教授なら給与だけで年3千万円以上と言われ、国内の教授3人分に相当します。
日本の大学は経営が厳しく、国立大は、国からの運営費交付金が2025年度は総額1兆784億円で、2004年度より約13%減っています。国内の大学や研究機関では、有期雇用契約を打ち切られる雇い止めに遭う研究者も多くなっています。苦境にある国内研究者の支援強化が本来の政策であるという指摘もあります。

(2025年6月10日 朝日新聞)
(吉村 やすのり)