国家公務員のなり手の減少

2021年度の国家公務員試験の倍率は、総合職で7.8倍と過去最低でした。受験者数もピーク時の4割以下に低下しています。若手の離職も増え、自己都合を理由に総合職を辞めた20代の職員は、2019年度に86人と6年で4倍に増加しましています。
国家公務員には、拘束時間が長いブラック職場のイメージがつきまとっています。新型コロナウイルス対策を担う内閣官房の職員の1月の残業時間は、月平均122時間、最長は378時間に達しています。一日も休まず、毎日12時間働いた計算になります。内閣官房に限らず、中央官庁の職員の長時間労働は深刻な水準にあります。
しかし、志が低下しているわけではありません。2021年度の新規採用職員のアンケートでは、国家公務員の志望理由について72%が公共のために仕事ができる、57%が仕事にやりがいがあると回答しています。大卒者の5割が、大学2年生までに就職先として意識しています。
霞が関からの人材離れは国力低下に直結します。もともと日本は、転職による労働移動が海外に比べて進んでいませんが、中央官庁は民間以上に人材の流動性が乏しくなっています。医系技官などの専門職を除けば、中途採用はごく一部にとどまります。今後は職員をどう補うかも課題になります。

 

(2021年11月22日 日本経済新聞)
(吉村 やすのり)

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