霞が関で国家公務員離れが深刻さを増しています。学生の官僚志望者は長期的に減少傾向にあり、若手職員の離職が相次いでいます。
2021年度の全申込者は、1万7,411人で、現在の試験形式となった2012年度と比べると、8,000人近くも減っています。自己都合を理由にした20代の総合職の退職者数も、2019年度に86人となり、6年前の4倍に増えています。
国会で質問する議員から、官僚が事前に内容を聞き取る質問取り作業や、閣僚の答弁準備は深夜に及ぶことが多くなっています。こうした仕事にやりがいが見いだせず、長時間労働で疲弊する中堅・若手は少なくありません。志望者の減少と離職の増加は、霞が関に就職しても専門性を磨けず、自身のキャリアアップを図れないと若い人が感じるようになっています。
国の行政機関の定員数は、近年30万人前後で推移しています。行政改革を進めた結果、地方を合わせた日本の公務員数は、人口比で欧米の主要国よりも少なくなっています。人口1,000人あたりの公的部門の職員数は、フランスの90.1人に対し、日本は36.9人です。省庁の垣根を越えて、必要な部署には柔軟に人材を配置することや、定員増を図ることも必要です。
(2022年4月16日 読売新聞)
(吉村 やすのり)