日本の薬剤費は、年間約8.5兆円にも上り、医療費全体の約2割を占めています。政府は薬剤費の様々な削減策を進めています。政府は医療費の伸びを抑える政策に一環で、後発薬の普及を後押ししています。6月に決めた骨太方針でシェア目標を従来の2017年度末に60%から、2018~2020年度の早期に80%以上に引き上げようとしています。
かつては薬の公定価格と納入時の割引価格の差額である薬価差益が医療機関の収入源となり、薬を出せば出すほど病院の利益が上がる仕組みでした。いまだに同じ感覚で薬を出す医師がいるとの指摘があります。日本人の薬好きも影響しています。薬漬けが社会問題化したことで、医師と薬局が診療と調剤を分担する医薬分業が推し進められています。顔なじみの薬剤師が薬の重複や飲み残しをチェックすることで、副作用による健康被害や医療費の無駄づかいを減らすことができるようになります。
(2015年9月15日 日本経済新聞)
(吉村 やすのり)