国立健康危機管理研究機構(JIHS)の発足

 JIHSは、感染症の研究や動向調査を担ってきた国立感染症研究所と総合病院を持つ国立国際医療研究センターが統合して発足しました。職員数は医師や研究者ら約3,900人で、病原体の基礎研究から患者の治療まで一体的に取り組んでいます。

 JIHSでは4月7日から、急性呼吸器感染症(ARI)の定点調査を始めました。従来は医療機関からインフルエンザなど既知の病原体ごとに患者数を報告してもらっていましたが、ARIは咳や喉の痛みといった風邪の症状に着目し、発生情報を集めています。感染症が疑われても検査で病原体が分からない患者数の動向を監視することで、未知の感染症の広がりをいち早くつかみ、初動対応の迅速化につなげる狙いです。

 新たなウイルスなどの発生を確認した直後に行う緊急調査であるFF100に実施体制も強化します。患者の診療情報や血液、鼻の粘膜などを分析し、感染力や感染経路、症状、重症度など病原体の特徴を早期に把握するもので、政府はこれに基づき、患者の隔離期間など感染対策を決めることになります。

 2023年5月に新型コロナが感染症法上の5類に移行してからの2年間、インフルエンザをはじめ様々な感染症の流行が続いています。今春は、激しい咳が続く百日せきや感染力が強い麻疹の患者も急増しています。JIHSは5月中にも、こうした身近な感染症について一般向けの情報発信を始めます。

(2025年5月4日 読売新聞)
(吉村 やすのり)

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