全国の国立大で、施設や設備の老朽化が加速しています。朝日新聞らの調査によれば、国立大75校のうち87%に当たる65校が、改修が進まない老朽化施設があるとしています。文部科学省によれば、全国に85校ある国立大などが保有する建物のうち、築50年以上を経過した面積が27%、築60年以上も8%を超えています。政府は、老朽化する大学施設の改善を最重要課題と位置づけています。
各大学に国から配られた運営費交付金は自ら使い道を決めることができますが、減少・抑制が続いています。さらに近年は人件費や物価の高騰で支出が増え、老朽化施設の改修どころか、教育環境の維持すら難しくなりつつあります。全85校の半数近い42校が持つ付属病院の赤字も深刻です。
国に求める大学の活性化策としては、運営費交付金など基盤的経費の拡充が95%、厚生労働省や総務省なども含めた政府全体での支援強化も同じく73%と多くなっています。文部科学省は、2026年度予算の概算要求で、運営費交付金の要求額を今年度予算より632億円多い1兆1,416億円と増額しています。

(2025年11月2日 朝日新聞)
(吉村 やすのり)





