文部科学省は、年間約54万円の国立大学授業料について、2031年度には93万円程度に上っているという試算を示しています。大学の収入の核となる国の運営費交付金が大幅に減らされる可能性があり、大学が減らなければ、授業料で減収分を賄う必要性があります。財務省は、全86国立大学の収入の3~4割を占める運営費交付金約1兆1千億円を、2031年度までに約9800億円にする方針です。
法科大学院を除く国立大の授業料(標準額)は、省令で年53万5800円と定められています。授業料で賄うとして試算すると16年後に約93万円になり、年間2万5千円づつの値上げが必要となります。財務省は、少子化で国立大の志願者が減少しており、交付金を絞りたいと考えています。しかし、学生になるべく教育費負担をかけないようにする必要があります。教育は、日本の将来を考える上で根幹をなす政策であるべきことを考えると、授業料の値上げは好ましいことではありません。
(2015年12月2日 朝日新聞)
(吉村 やすのり)