国立大学病院長会議の発表によれば、全国42国立大病院の2025年度の収支の見通しについて、経常損益が全体で400億円超の赤字となるとしています。物価や人件費の上昇が響き、赤字幅は2024年度の286億円から拡大し、2004年度の法人化以降で最大となります。42病院のうち33病院が現金収支で赤字となる見込みです。
医師の働き方改革や処遇の改善により、人件費が2024年度から6%増加するほか、医薬品や診療に使う材料の価格上昇で医療費が4%増えるとしています。一方で支出を抑えるため、医療機器の更新など施設・設備費は27%減少するとしています。
国立大学病院は臓器移植をはじめとした高度医療の核で、医師の育成においても重要な役割を担っています。経営悪化によってこうした機能が弱まれば、日本の医療全体に影響が及ぶ可能性があります。大学病院は、国立以外でも経営状況が悪化しています。全国医学部長病院長会議は、全国81の国公私立大学病院について、2024年度の経常損益が全体で508億円の赤字になっています。

(2025年10月4日 日本経済新聞)
(吉村 やすのり)