国籍がないまま日本で暮らす子どもが急増しています。法務省の統計によれば、無国籍の乳幼児(0~4歳)は、2019年末時点で213人と、3年前に比べて約3.5倍に増加しています。2020年6月末時点で217人となっています。外国人労働者や留学生の増加を背景に、日本で生まれた子どもの国籍取得に必要な手続きがなされていないケースが多いとみられます。
2012~2016年に20~60人台で推移していた無国籍の乳幼児数は、2017年に128人となり、2018年に200人を超えました。無国籍者の総数は、2012年以降600~700人台で推移し、2019年は696人です。特に0歳児の増加が大きく、2018年以降は乳幼児が全体の3割を超えています。
外国人の親のもとに生まれた子が親の出身国の国籍を取得するには、その国の大使館や領事館に出生登録などの手続きをする必要があります。しかし、非正規滞在の発覚を恐れたり、出身国が婚外子の国籍取得を認めなかったりして、出生登録がされないことがあります。支援団体によると、父親が不明だったり、日本人の父親が認知しなかったりして、無国籍になるケースも多くなっています。
無国籍の子どもが増えている背景には、外国人の増加があるとみられます。日本の在留外国人の数は、2015年から5年連続で過去最多を更新しています。特に増えている技能実習生は、2019年末で41万人で、5年前に比べ約2.5倍に、留学生は同34万人で同1.6倍に増えています。在留管理上で無国籍と把握されている人は氷山の一角です。親が非正規滞在なら仕方がないと考えがちですが、子どもに責任はありません。
(2021年4月6日 朝日新聞)
(吉村 やすのり)