国際線パイロットの定年引き上げ

 国連専門組織の国際民間航空機関は、国際線パイロットの定年を現行の65歳未満から68歳未満に引き上げようとしています。ANAやJALを含む航空業界は定年延長を求める一方、米国は難色を示しています。実現すれば、2006年に65歳未満に引き上げて以来19年ぶりになります。国内線は日本においては既に68歳未満になっています。

 業界を挙げた要望の背景には、世界的なパイロット不足があります。2025年の世界旅客数は前年比4%増の49億8,800万人と、2年連続で過去最高を更新する見通しです。フライト数も3,830万便と新型コロナ禍前の2019年の3,750万便を超えるもようです。米コンサルティング会社のオリバー・ワイマンの試算によれば、2025年時点でパイロット数が約3万4,000人足りておらず、2029年には約6万人に広がります。米ボーイングは2025年から2044年にかけて、世界で66万人のパイロットが新たに必要になると予測しています。

 国際線拡大のための人財確保につながり、大いに期待されていますが、米国側は慎重な姿勢を示しています。航空会社に属さない個人パイロットが多く、定年引き上げが供給過剰を招くとの懸念があります。

(2025年9月24日 日本経済新聞)
(吉村 やすのり)

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