テレワーク実施の課題
米国では、企業のテレワーク導入割合が7割を超し、2割の日本をはるかに上回っています。しかしIBMなど一部のIT企業は、社員のコミュニケーション不足を理由に、一定程度の出社を求めるよう制度を見直しています。通信環境が未整備・弱いといった設備面の問題に加え、コミュニケーションが難しいなど意思疎通面や、紙ベースの業務に支障が出るといった業務そのものの難しさが指摘されています。
職場にとらわれない新しい働き方と期待される在宅勤務などのテレワークは、一方で意思疎通のしづらさや働き手の業務内容の管理など、様々な課題も出てきています。工場はシフト制勤務のため、テレワークなどの導入は困難です。しかし、今回のような新型コロナウイルスでの全国の小中学校の臨時休校により、子どもに自宅待機を余儀なくされる状況では、在宅でのテレワークは難しい家庭も多いと思われます。テレワーク活用は、育児や介護など様々な事情を抱える働き手の両立支援にも結び付くと考えられますが、感染対策を契機に、実のある形で定着させていくことが期待されます。
(2020年3月4日 日本経済新聞)
(吉村 やすのり)