在留外国人は増加ペースを増しています。2024年末の在留外国人数は376万人と、2023年末比で35万人(約10%)増加しました。国立社会保障・人口問題研究所は、日本の人口が2070年に今より3割ほど少ない8,700万人まで減り、そのうち外国人が939万人と全体の1割を超すと推計しています。
日本で外国人の受け入れが本格化したのは1990年代です。1993年に技能実習制度を作りました。途上国から受け入れた実習生が学んだ技術を持ち帰り、母国の経済成長につなげてもらう狙いからです。実際には日本にとっての安価な労働力確保の手段として利用が広がりました。2019年に人手不足対策の一環として特定技能制度を導入しました。それまで技能実習にしか認めていなかった単純労働を、即戦力となるような外国人労働者にも広げました。
日本は人手不足などを背景に外国人労働者の受け入れを拡大してきましたが、政府は移民政策はとらないとの姿勢を崩していません。現実には移民は受け入れないとしつつ、人手不足に迫られて外国人労働者を受け入れてきたという現実があります。現実には移民は受け入れないとしつつ、人手不足に迫られて外国人労働者を受け入れてきたとい現実があります。
外国人コミュニティーのトラブルなどがよく話題になっています。在留外国人が日本の社会になじみにくい状態を放置すれば、排外主義的な主張が一層強まる恐れもあります。建前が足かせとなって国の戦略が見えづらく、増え続ける外国人労働者を受け入れる体制を真剣に考えるべきです。日本が成長を確保するには、在留外国人との共生策も含めた戦略を描くことが必要です。

(2025年9月30日 日本経済新聞)
(吉村 やすのり)