国土交通省の発表によれば、商業地の地価の全国平均が前年より0.9%伸び、8年ぶりに上昇に転じたとのことです。しかし、人口減に悩む地方では値下がりに歯止めがかからず、土地の値段の地域格差が広がっています。アベノミクスによる金融緩和などで、大都市圏だけではなく、地方の中核都市の土地取引も活発になっています。
三大都市圏以外でも、地価の上昇は、福岡、広島、札幌、仙台など、地方の中核都市にも広がっています。こうした都市では、住宅地の地価の回復も進んでいます。しかし、秋田県を始めとする多くの地方においては、住宅地のみならず商業地の地価も下がり続けています。国土交通省が発表した公示地価は、土地の値段の格差が広がっていることを示しています。地価の上昇の効果は、人口減で土地の需要が乏しい地方までは広がっていません。多くの地方で景気回復が遅れていることをはっきり映し出しています。
(2016年3月23日 朝日新聞)
(吉村 やすのり)