地域医療情報ネットワーク

地域医療情報ネットワークとは、病院や診療所、薬局、介護施設が患者の電子データを共有する仕組みのことをいいます。複数の施設が連携することで、過剰な診療や不要な投薬を防げると期待されています。2025年には国民の5人に1人が、75歳以上の後期高齢者になります。限りある医療資源を有効活用し、社会保障費の抑制につなげる狙いから、政府は、2000年代以降補助金でこのネットワーク整備を後押ししてきました。
システムの初期費用は平均1億7千万円で、維持管理費は年960万円です。しかし、診療データを病院間で共有する全国約210の地域ネットワークの登録患者数は、国内人口のわずか1%にすぎません。国と自治体は、医療費の抑制や患者の利便性向上を狙い、計530億円を超す公費を投じていますが、重複医療を解消する効果が出ていません。医療先進国といわれるオランダは、2012年に全国で医療情報を交換するシステムをつくっています。患者がいつでも見られるように透明性を高め、国民の8割が参加しています。米国では、患者データをインターネットで管理や閲覧できる仕組みが普及しています。

(2019年3月15日 日本経済新聞)
(吉村 やすのり)

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