地方の男性余りが深刻になっています。若い女性がキャリアを求めて都市部に移り住み、残るのは男性に偏りがちで、自然と結婚や出産は減少し、少子化は加速します。女性が地方を離れる一因には、育児や家事を押しつけられがちな環境もあると思われます。福島県は男余りの都道府県でワースト1位です。内閣府によれば、2020年に20~34歳の未婚男性数と未婚女性数は1.355対1でした。同じ地域で暮らす男女の人口比が崩れれば、結婚相手とのマッチングは難しくなります。
地方から若い女性がいなくなる背景には、就職先がないことや、アンコンシャス・バイアス(無意識の思い込み)の根強さがあります。家事や育児は女性の仕事、男性は仕事をして家計を支えるべきなど、育児や家事を押しつけられがちな環境があります。総務省の2024年の人口移動報告によれば、地方から東京への転入超過数のうち女性は20~29歳が84.5%を占めています。地方に魅力的な就職先がないことも問題です。
地方創生2.0を掲げる石破茂首相は、若者や女性にも選ばれる地方の実現に向けてアンコンシャス・バイアス解消を訴えるものの、具体策はまだ見えていません。バイアスの存在が女性のウェルビーイングを損なっているという認識が大切です。

(2025年3月6日 日本経済新聞)
(吉村 やすのり)