都道府県や市が設置する公立大はこの30年間で101校に倍増し、国立大の85校を上回るようになってきています。かつては首都圏や近畿圏などに集中していましたが、1990年代以降、大都市部以外で看護・福祉人材を養成する公立大の設置が続きました。近年は、深刻な少子化や過疎化を背景に、特定分野の人材育成よりも若者の流出抑制を主眼に、地方で大学を新設する傾向が強まっています。
18歳人口は今後も大きく減る見通しで、国立大には原則として新設や定員増が認められません。私立大は短大からの転換などで30年前の1.5倍以上の約620校に増えましたが、半数以上が定員割れで募集停止が相次ぐ厳しい状況です。学生確保が厳しくなった私立大などを、自治体が公立化したケースもこれまでに計12校に上っています。公立大は基本的に都道府県や市の判断で開設・運営され、学生数や分野などの基準に応じた地方交付税が総務省から自治体に交付されます。
文部科学省によれば、公立化した大学の大半で県外からの入学者が増えたこともあり、卒業時の地元就職率は低下し、半減した例もあります。学生が集まり地域活性化の効果が期待されるものの、若年層の定着という多くの自治体の目的とはズレが生じており、新設された公立大でも同様の傾向がみられます。
公立大の設置は、地方創生の一環という面が強いのですが、卒業後も定着する学生が少なければ、何のための公立大か分かりづらくなります。その一方で、地場産業への貢献や、卒業後も地域とつながりを持つ関係人口を増やす意味があります。地元の企業や私立大などとも連携し、地域が目指す未来像を明確に打ち出す必要があります。

(2026年3月26日 読売新聞)
(吉村 やすのり)







