総務省によれば、地方公務員の受験倍率は、1999年度の14.9倍をピークに長期的な低下が続いています。2019年度は5.6倍と、集計開始以降で最も低くなっています。新型コロナウイルス禍で景気悪化が懸念されても、倍率の上昇は限定的でした。民間企業の採用意欲が根強く、公務員志望者は国、地方ともに減少基調が続いてきています。
地方公務員の採用方法を見直す動きが広がっています。試験内容の見直しや入庁時期の分散などを通じ、受験しやすい環境を整えています。名古屋市は、従来の採用枠と異なり、筆記試験で歴史や数学の知識に関する設問を廃し、時事問題などを通じて社会への関心を問う内容を取り入れています。民間企業で広く使われる適性検査であるSPI3の利用も増えています。自治体が求める人物や仕事について正確に発信し、インターンシップなどで幅広く伝える努力が欠かせません。ミスマッチを事前に防ぐ取り組みが必要です。
(2022年6月12日 日本経済新聞)
(吉村 やすのり)