地方創生への道

地方で人口の減少が続いています。政府や自治体が地方創生の旗を振っても、若い女性らが地元を離れて東京圏に向かう流れに歯止めはかかりません。
2014年、当時の安部政権は、地方活性化を重要な課題と位置づけ、地方創生相を新たに設けました。現在の地方創生相である野田聖子議員は、初代の石破氏から数えて7人目です。政府は、地方創生を目的とした交付金を新設したほか、地方大学の振興策や、先端技術を生かすスーパーシティ構想などの施策をとってきました。地方自治体も移住の促進策や子育て支援策に取り組んできました。
しかし、地元を離れて東京圏などへ向かう人の流れは止まりません。総務省の調査によれば、2014~2020年の合計で、県外への転出者が転入者を上回った道府県は40に上っています。とりわけ若い女性の流出が目立ちます。女性の超過が男性を上回る道県は36もあります。地元を離れるタイミングは20代前半が目立ちます。
地方の働く現場で、男女の格差が是正されなければ、地方から東京圏への人口流出の問題は解決しません。若い女性が地方から流出する傾向に歯止めがかからなければ、次世代を担う子どもの減少につながり、地域社会の維持が難しくなります。地方において、やりたい仕事ややりがいのある仕事が見つからなければ、転出する女性がさらに増加してしまいます。地方創生への切り札は、地域における雇用の確保のみならず、雇用の質の向上にあります。そのためには、家庭と仕事との両立や子育て支援に取り組む企業の育成が大切になります。

 

(2021年11月3日 朝日新聞)
(吉村 やすのり)

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