地球温暖化は、18世紀後半の産業革命以降の化石燃料の大量消費に伴う温暖化ガスの排出量増加といった人間活動が主な要因とされています。国連の気候変動に関する政府間パネルの第6次評価報告書で、人間活動が気候変動に及ぼす影響に疑う余地がないと初めて明記されています。
気候変動は自然環境や人間社会に深刻な影響を及ぼします。豪雨や熱波、干ばつといった異常気象が頻発し、食料不足や健康被害、生態系の崩壊などをもたらします。海面上昇や激化する自然災害の影響で移住を余儀なくされる気候難民も生まれています。国連環境計画の報告書によれば、2023年時点での世界最大の排出国は中国で全体の30%に上り、米国が11%、インドが8%と続いています。
一方、気候変動分野の研究力で中国が米国を抜いています。日本経済新聞の調査によれば、2023年に中国が米国を上回っていました。国を挙げて研究に力を入れる中国は、世界で発言力を高めており、脱炭素技術で世界をけん引するようになっています。中国の習近平国家主席は、2030年に二酸化炭素排出量を減少に転じさせ、2060年にカーボンニュートラル(温暖化ガス排出量実質ゼロ化)を実現する3060目標を掲げています。
トランプ米政権がパリ協定からの離脱を通告し、国際的な足並みが乱れています。米国は気候変動を軽視するトランプ米政権下で研究力がいっそう低下しそうです。
(2025年8月22日 日本経済新聞)
(吉村 やすのり)