新型コロナウイルスの変異種の拡大が世界中で止まりません。各国は検査の徹底など警戒を強めており、市中感染の疑い例が報告された日本でも、感染者をいち早く見つけ出す監視体制を築く必要があります。ウイルスは一定の速さで変異が増えていきます。感染力が強まる変異が起きると、他の変異を持つ同種のウイルスとの競争に勝ち、一気に流行が広がります。英国や南アフリカでは、こうしたタイプが数カ月で国内の流行の大半を占めるようになってきています。
日本も変異種の監視体制を強化しています。解析を効率的に行うには、大量の検体から疑い例を迅速に見つけられるスクリーニング検査の導入が有効です。感染研が方法を開発して自治体に公開しており、東京都が活用しています。都健康安全研究センターが、都内の保健所から送られてくる陽性検体を同検査でふるい分け、変異種が疑われる検体を感染研に送って解析してもらっています。感染研での解析には限界があります。現在、ゲノム解析に回るのは、陽性検体の4%程度です。検査を増やすには民間検査機関との連携が不可欠です。
(2021年1月24日 日本経済新聞)
(吉村 やすのり)