生命保険会社が運用成果に応じて保険金が変動する変額保険を相次いで投入しています。変額保険は、保険料の一部を株式や債券で運用する特別勘定に繰り入れ、運用実績に応じた保険金を支払う商品です。被保険者が死亡や高度障害状態となった場合に支払われる基本保険金は、運用成績によらず最低額が保証されます。しかし、運用成果が振るわない場合には、保険金額が払い込んだ保険料の合計額を下回る元本割れのリスクがあります。
日本生命保険は、4月からアクサ生命保険の商品を自社の営業職員チャネルで販売します。チューリッヒ生命保険も新商品を出します。各社が変額保険の投入に動く背景には、新NISAの普及や資産運用立国を目指す政府の政策を背景とした資産形成ニーズの高まりがあります。金利上昇や株高で運用環境が好転し始めていることも、新商品の投入を後押ししています。
変額保険の投入には慎重な意見もあります。市場の変動で保険金額が増減するため、契約者側にリスクを十分に説明する必要があります。十分な金融リテラシーのない顧客にもリスクを説明しきれるのかという懸念はあります。
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(2025年2月14日 日本経済新聞)
(吉村 やすのり)