血圧は、ストレスや睡眠不足、塩分の取り過ぎ、飲酒ほか、気温の変化など様々な要因で上下します。一般的には血圧は寒い冬に上がり、暑い夏には下がります。夏に血圧が下がる要因は2つあります。気温が上がり、体内の熱を放散するために血管が拡張します。さらにもう一つは、汗を多量にかくと血管内の水分と塩分を失い、循環血液量が減少します。血圧が低めの人や高齢者は、夏には血圧が下がり過ぎて、だるさや立ちくらみ、ふらつきなどの症状が出ることがあります。高齢者は血圧を調節する力が低下しているので、若い人なら問題にならない程度の血圧の低下でも症状が出やすくなります。
複数の降圧剤を使っている人、利尿剤を飲んでいる人や高齢者は、夏には特に下がりやすいので注意が必要です。こまめに水分を補給することも大切です。多量に汗をかいたときは、塩分を含むスポーツドリンクなどを飲むべきです。血圧の低下による立ちくらみやふらつきは、失神や転倒につながる場合もあります。起床時や椅子から立つ時、急に立ち上がらないようにすることも大切です。
(2017年6月10日 日本経済新聞)
(吉村 やすのり)