外国企業による日本への投資

 外国企業による日本への投資は対日直接投資と呼ばれます。対日直接投資の2023年末時点の累計額は51兆円で、2000年末の6兆円から8倍以上になっています。投資は着実に拡大していますが、諸外国と比較するとなお世界最低水準です。対日直接投資のGDP比は8.5%ですが、国連貿易開発会議によれば、この比率は198カ国・地域中192位です。

 経済規模が大きい国は、この比率が小さくなる傾向にあります。それでも米国は46.1%、中国は19.9%です。韓国も16.8%と日本の倍近くになっています。この比率が大きければ良いというわけではありませんが、日本は先進国の中で最下位です。日本は、外国企業にとって極めて閉鎖的な国、あるいは非常に魅力のない国となっており、海外の活力を十分に取り込めていません。

 日本が選ばれない理由として、第1には日本市場が非常に競争的なために、外国企業の参入・存続が難しいことが考えられます。第2に人口動態、すなわち少子高齢化が影響しています。生産年齢人口の減少で、日本企業が輸出から直接投資へと世界への供給方法を変えるメカニズムが働いています。第3には、英語によるコミュニケーションの難しさが、日本への投資を難しくしている可能性があります。

 最後に巨額の公的債務が影響しています。公的債務が大きくなれば将来の増税や債務不履行が危惧されるため、企業が投資を敬遠する可能性があります。IMFによれば、日本の公的債務のGDP比は2023年時点で240%、データの利用可能な192カ国中2位で、このような巨額の公的債務は、対日直接投資をためらわせる要因となっているかもしれません。

 投資環境の改善は対日直接投資だけでなく、日本企業の国内投資にも寄与する可能性があります。少子高齢化・英語能力・公的債務の大きさのいずれも、中長期的に解決していかなければならない課題です。高市早苗政権は、対日直接投資における審査の高度化を打ち出していますが、政府の掲げた120兆円という目標を達成するためにも、透明性の高い迅速な審査が期待されます。

(2025年12月4日 日本経済新聞)
(吉村 やすのり)

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