外来受診回数

 日本は、韓国と同様諸外国に比べて外来受診回数が多くなっています。過剰な受診を減らし、医療費の伸びを抑えることが必要になってきます。経済協力開発機構(OECD)によると、日本の1人あたりの年間外来受診回数は12.8回であり、英国の5.0回やドイツの9.9回より多くなっています。2015年度の概算医療費は41.5兆円まで膨らみ、大半を税と社会保険料で賄っている状態です。患者負担の引き上げは避けられない情勢です。
 厚生労働省は、医療保険財政の健全化のために個人の一定の負担増を検討していますが、医療費抑制の道はなかなか険しいものがあります。70歳以上を対象に自己負担の月額上限を定めた高額療養費は、引き上げ対象が高所得者中心になる見通しです。金融資産に応じた個人負担の導入は、見送りの公算が高くなっています。現役世代の社会保険料は増え続け、取りやすいところから取る状況が相変わらず続きます。

(2016年10月27日 日本経済新聞)
(吉村 やすのり)

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