外部資金獲得への後押し

 日本の研究力は低下しています。文部科学省によれば、引用数が多い上位10%の論文シェアは2001~2003年に世界4位でしたが、2021~2023年は13位に後退しています。政府が配る運営費交付金や科学研究費の総額は減少傾向にあり、各大学は外部からの資金調達を迫られています。

 外部資金を獲得するには、企業との共同研究が有力な手段になります。現在、国内大学の研究開発費のうち、日本企業の拠出割合は3%ほどにとどまっています。この比率は米国の5%や韓国の14%、台湾の12%より低率です。共同研究費も1件あたり300万円未満が8割と規模が小さく、設備や人材への投資に充てられていません。

 経済産業省と文部科学省は、大学の外部資金獲得を後押しする指針を2026年にまとめます。民間企業との共同研究や知的財産の活用による資金調達の好事例を盛り込みます。教育・研究環境の改善につながるような給与・経理の先進的な制度も紹介し、稼げる経営のモデルを広めます。

(2025年9月2日 日本経済新聞)
(吉村 やすのり)

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