多様な働き方が可能な都市

これまで都市の競争力は、人口規模や企業、商業施設の立地数で測ることが多く、税収が増えればインフラが整い、集積度が高まります。大都市にヒト、モノ、カネが流れてきたのはこうした循環があったからです。しかしコロナ禍で人々の働き方や生活は一変、テレワークが広がり、自宅やその周辺で効率よく働けることを重視する人が増えてきています。生活サービスの利便性も求められ、多様な働き方や生活を実現できる都市が再評価され始めています。
日本経済新聞と東京大学の調査によれば、主要287市区に順位をつけると、人口10万人の石川県小松市が首位となっています。トップ30の68%を10万人台の都市が占めています。新たな職・住スタイルに適した環境づくりが都市の成長力を左右しています。首位の小松市は、学童を含む保育環境と福祉施設の充実度、住宅の広さなどが最高点でした。
多様な働き方や生活は、大都市でなくても可能です。トップ30には、中核市への移行に必要な20万人に満たない21市が入っています。2位の鳥取市は18万人、3位の富山県高岡市は17万人です。いずれも公衆無線LANが整い、相対的に地域内で所得と支出がうまく循環しています。上位の自治体は3世代同居が多く、地域社会の結びつきも強く、子育てと仕事を両立しやすい環境にあります。

(2021年7月21日 日本経済新聞)
(吉村 やすのり)

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