今後、日本は多死社会に突入します。年間死者数は2015年に130万人を超え、2039年に167万人でピークになると推計されています。この数は、現在の福岡市や神戸市の人口に匹敵します。医療の進歩などで平均寿命が延び、20年後には人口の5人に1人が75歳以上になる中、高齢の死者数が急増するのは当然の帰結です。
こうした多死社会において、最期を迎えたい場所としては、自宅で最期を迎えたいと回答した人が半数以上を占めています。しかし現在は8割近くが医療機関で死亡しています。急増する死者数を病院で受け入れきれないこともあり、国は在宅看取りを進めています。しかしながら、高齢期の住まいや在宅医療、介護などの体制整備は準備ができているとはいえない状況にあります。
(2016年4月3日 読売新聞)
(吉村 やすのり)