厚生労働省は2020年度から、双子など多胎児がいる家庭に対する支援事業を始めます。多胎児家庭に特化した支援策は初めてです。育児経験者をサポーターとして家庭に派遣するほか、同じ悩みを抱える親同士の交流会などを開きます。厚生労働省は、2020年度予算に産前産後の継続的な支援策として約240億円を計上していますが、その一部を多胎児支援に充てます。支援策を展開する自治体に対し、人件費と設備費を2分の1ずつ補助します。
子育て支援のNPO法人フローレンスなどが多胎児家庭に実施したアンケート調査によれば、育児の悩みは、外出・移動が困難との回答が89.1%で最多で、大変さが周囲に理解されないが49.4%でした。希望する支援は、家事育児の人手が68%で最多でした。複数の子どもを乗せる大型ベビーカーが、バスで乗車拒否されたり、駅のエレベーターに乗せられるスペースがなかったりする場合などもあり、外出が難しいと感じる多胎児家庭が少なくありません。多胎児の産前産後の家庭に多胎妊産婦サポーターを派遣し、おむつ替えや家事を助けたり外出に同行したりします。
(2020年1月22日 日本経済新聞)
(吉村 やすのり)