厚生労働省の統計によれば、全出生数に占める双子以上の比率は1950~1970年代は1.0~1.1%ほどでしたが、1980年代から徐々に高まり、2002年に初めて2%を超えています。近年は2%を前後で推移しています。背景には不妊治療の普及などがあるとされています。
多胎児のサポートを考える会が保護者約1,590人に実施した調査によれば、育児中につらいと感じた場面として、外出・移動が困難を挙げた人は89.1%で、最多でした。双子や三つ子を育てる親を支える自治体が増えています。子育てを手伝うサポーターの派遣や当事者が悩みを共有する交流会の開催が進む一方、自治体の取り組みには地域差があります。
東京都は支援策を広げるため、2020年度から区市町村の事業負担を補助しています。国も、2023年度に多胎児の妊婦らが少ない地域は、都道府県が主体となって事業を実施できる仕組みに改めましたが、初年度に国の補助を活用したのは3県にとどまっています。全国のどこで出産しても手厚い支援を受けられるようにするため、都道府県が支援して近隣の市町村が連携して取り組みを進めるなどの工夫が必要です。
(2024年11月9日 日本経済新聞)
(吉村 やすのり)