退職一時金とは、任意退職、定年、解雇、死亡などで雇用関係が消滅した労働者に対し、退職時に一括して支給する制度です。退職後の一定期間や生涯にわたり支給するものは退職年金と呼び、2つを合わせて退職給付と言います。退職給付制度を設ける義務はなく、設ける場合は適用する労働者の範囲や計算方法を就業規則に記載する必要があります。
厚生労働省の就労条件総合調査によれば、中小企業を中心に25%は退職給付制度がありません。従業員数が多く、歴史の長い大企業ほど制度が充実しており、1,000人以上の企業は4割が一時金と年金を併用しています。中途採用人材の重要度が増す中で、大企業でも終身雇用を前提とした退職給付の制度の見直しが始まっています。
退職給付は、従業員を長期間働かせるため機能しきました。若いうちの低賃金をキャリアの後半で回収する報酬体系は、終身雇用を下支えしてきました。しかし、転職の一般化で若い時に低い給料で働く理由が薄れ、後払い賃金の企業が選ばれにくくなっています。物価高で生活環境が厳しく、給料を重視せざるを得なくなっています。

(2026年3月18日 日本経済新聞)
(吉村 やすのり)





