文部科学省の調査によれば、全国の国公私立大や短大、高等専門学校が、9月下旬以降に始める後期授業の形式は、1,060校のうち、授業をオンラインによる遠隔と対面を併用とするのは8割の849校でした。全面的に対面とするのは2割弱の205校にとどまり、未だ新型コロナウイルスの感染リスクを警戒する大学などが多数を占めています。文部科学省は、学生同士や教員とのつながりは教育で重要として、感染対策をとったうえで可能な限り対面を実施するよう促しています。
対面の頻度が授業全体の3割未満としたのは、2割弱の161校であり、感染対策をとるための教室の広さや数が不足している、保護者らから感染リスクを心配する声があるとしています。こうした大学は遠隔を授業の軸にしています。対面を実施するケースについて、最多は実験・実技などの88%で、ゼミが62%、対面と遠隔を同時実施が50%と続いています。ラウンジや図書館など学内施設の利用可否では、すでに全面的に可能との回答が34%の359校に留まっています。
新型コロナの感染拡大に伴い、多くの大学は春からの講義をオンラインで実施し、構内への立ち入りを制限しています。特に新入生からは、大学生になったとは思えない、友人がつくれないなどの不安や不満の声が上がっています。小学校から高校までの学校教育は、感染対策を実施しながら対面授業を実施しています。大学などにおいても早急な対応が望まれます。
(2020年9月16日 日本経済新聞)
(吉村 やすのり)