日本経済新聞社の調査によれば、全国の大学のうち6割が生成AIを教育に活用しており、成績評価や入試で使う先進例も出てきています。4割は不正利用への警戒などから、検討や準備といった段階にとどまっています。大学による生成AIの活用状況は二極化しています。
目的としては、授業実施に必要な情報の収集が最多で、問題や教材の作成、授業中のブレーンストーミング論点の洗い出し、学生によるリポートや論文などの作製が続いています。
消極姿勢の背景にあるとみられるのが、生成AIの浸透によるマイナスの影響やトラブルを避けたいとの考えです。懸念点としては、約6割の大学がリポートや論文などに不正利用されるを挙げています。半数近くは学生の思考力や創造性が損なわれるとしています。
米国では、生成AIの利用を前提にシラバス(講義概要)を全面的に書き換える大学もありますが、日本の大学は慎重な姿勢が目立っています。学生は生成AIの活用が当たり前の社会に出て行きます。教育は学生の利益のために行われるのであり、大学は有効活用について積極的に考える必要があります。

(2025年12月9日 日本経済新聞)
(吉村 やすのり)





