大学の再編

名古屋大学と岐阜大学は近く、設置主体である国立大学法人の統合に向けた協議に入ります。利用する仕組みはアンブレラ方式と呼ばれ、同一法人の下に複数の国立大学がぶら下がる形になります。名古屋大学の構想では、新法人東海国立大学機構(仮称)を設立し、傘下に両大学が入ります。大学名や学部、学科に変更はなく、管理部門を統合します。新法人の学生数は、単純計算で合計約2万3千人になります。現在の名古屋大学の約1万5千人から大幅に増え、京都大学を抜き、東京大学、大阪大学に次ぐ規模となり存在感は高まります。
統合により経営を効率化し、競争が激しい分野の研究などに手厚く投資できるとしています。規模のメリットを生かすための大学統合は国も後押ししています。名古屋大学・岐阜大学の法人統合が実現し、国立大学の再編が進めば、大学定員の8割を占める私立大学が大きな焦点になります。私立大学の4割弱は定員割れで、2016年度の最終的な収支が赤字の大学は4割を占めています。18歳人口が急減期に入る2018年問題が顕在化すれば、大学の淘汰が進むのは必定です。
今後進学率が上がっても、2040年度の大学進学者は、2017年度に比べ2割減の51万人になると推定されています。入学定員が現状のままだと充足率は84%まで落ち、約10万人分、全大学の平均定員で換算すると120校超が過剰となります。国立大学は、2000年代前半に地方の医科系の単科大学と総合大学の統合などが進みましたが、総合大学同士の統合は近年例がありません。少子化による高等教育市場の縮小は不可避です。多くの大学経営者が、今後生き残りに向けた決断を迫られることは間違いありません。

 

(2018年3月23日 日本経済新聞)
(吉村 やすのり)

カテゴリー: what's new   パーマリンク

コメントは受け付けていません。