政府は、2021年度中に大学の研究開発を支援するためのファンドを設立します。公的資金も投じて10兆円規模をめざし、資金力や論文数で、米英や中国に後れを取る日本の大学の国際競争力を引き上げるとしています。
引用数が多い上位10%の論文数で、日本は1996年~1998年に世界4位でしたが、2016年~2018年は11位に落ちています。英誌が2020年にまとめたランキングでも、トップ200に入った日本の大学は、東京大学の36位と京都大学の54位だけです。
文部科学省の資料によれば、米ハーバード大学の基金は4.5兆円、エール大学が3.3兆円なのに比べて、日本は慶應義塾大学が730億円、東京大学は150億円です。2021年度の科学技術の関連予算は4.1兆円でしたが、中国の28兆円、米国の15兆円に及びません。
大学は、2004年からの国立大学法人化で、人件費や研究費などに充てる運営費交付金が減ったのが競争力低下の一因となっています。しかし大学側には、公的資金に頼ることなく、自ら外部資金を獲得するなど、目標とするハーバード、オックスフォードなどのトップ大学と競争するための改革が求められます。グローバルに競争する他国の有力大学は、困難の中からニューモデルで強く起き上がってきています。
(2021年7月30日 日本経済新聞)
(吉村 やすのり)