文部科学省は、世界トップの研究力を目指す大学を運用益で支援する10兆円規模の大学ファンド制度において、支援期間を最長25年とする基本方針案をまとめています。異例の長期支援によって対象校の事業規模を倍増させ、国際競争力の強化と技術革新の創出を図ります。
世界トップレベルへ成長できる国内大学を国際卓越研究大と認定し、ファンドの運用益で支援します。運用益の目標は年3,000億円で、仮に5校に分配すれば1校当たり600億円になります。2021年度の国立大学運営費交付金でみると、全国2位の京都大(573億円)を上回る規模です。認定校は、人材獲得や研究環境整備に向けた財政基盤が強化されることになります。
異例の長期支援に乗り出す狙いは、海外トップ大との差を縮めることにあります。米国のスタンフォード大やハーバード大は年間収入が5,000億円を超える一方、日本はトップの東京大で1,800億円にとどまっています。収入の差は教育・研究基盤への投資の差に表れます。選考の判断基準として、論文の総数や引用数上位に入る割合、外部からの研究資金の受け入れ目標などを示しています。2023年度に最初の認定校を決め、2024年度から支援を始めます。
(2022年9月1日 日本経済新聞)
(吉村 やすのり)