大学生の就活は、人手不足を背景に売り手市場が続いています。しかし、せっかく入社したのにすぐに退職する早期離職者は増加傾向にあります。厚生労働省によれば、2021年卒の入社3年以内の離職率は34.9%にも達しています。就活の早期化が背景にあるとされ、首都圏の大学はデジタル技術を活用しながら、1、2年生からのキャリア教育を進めています。
就職活動の早期化などを背景として、大学が独自に学生の就職活動を支援する動きが広がっています。従来はキャリア支援窓口による就職先の斡旋などに限られていましたが、学生の特性を客観的に計測するアセスメントテストを導入したり、産業界との連携講座で学生と企業の接点づくりを後押しするなどの試みが活発化しています。
東京都市大学も学生の能力を可視化し、専攻分野の学習を通じてビジネススキルを磨く仕組みを導入しています。取得した単位や成績に基づき、就職に役立つ実力をデータチャートで示しています。学生はチャートを見ながら目標を設定し、半年ごとの振り返りを通じて自身の実力を客観的に分析します。この仕組みで得たデータは企業にも参考にしてもらうことで、就活後のミスマッチの防止にもつなげています。
(2024年10月31日 日本経済新聞)
(吉村 やすのり)